道がえし(ちがえし)
道がえし(ちがえし)あらすじ
鬼反(きがえ)しとも言います。常陸(ひたち)の国、鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)の御祭神である武甕槌命(たけみかづちのみこと)が、世界各地を荒し廻った大悪鬼を激闘の末に降参させる神楽。

神と鬼が幕を挟んでの言葉の戦いで掛け合い、そして立ち会いとなりますが、鬼は敗れて降参してしまいます。幕内の鬼(舞台の外の場合もある)と神との幕を挟んでの掛け合いが特徴。また、石見神楽では珍しく鬼が降参し、人間を食物とせず高千穂にある稲を食料とするように諭され改心して許されると言う形で終わります。鬼を殺さずに道の途中から反すので道反しといいます。

登場人物
武甕槌命
武甕槌命(たけみかづちのみこと)
雷の神で、剣神・軍神。鹿島神宮(茨城県)の祭神。葦原中国に派遣され、大国主命と子の事代主命を説得。また建御名方命を力で屈服し、葦原中国を平定した。

大悪鬼
大悪鬼(だいあっき)
唐(中国)・天竺(インド)をはじめ、アフリカ・韃靼(タタール=モンゴル)・ヨーロッパ・スマンダラ(スマトラ)など、世界中を荒らしまわった大悪鬼。武甕槌命に降参して高千穂に行き、人を食することを改め、米を食料とするようになる。

注目の口上!
「あら恐ろしや、神の命とは知らずして、天に上り、地に下り、秘術を尽(つく)して戦えども、神明の切先のがれがたし。命ほどは御助けなされ候へ。」

【口上解説】
「なんと恐ろしいことか、鹿島の神とは知らずにあらゆる手段を尽して戦ったが、神様の剣からは逃げられません。命だけは助けてください。」と許しを請います。

※鬼が敗れて、武甕槌命に許しを請う口上

鑑賞のポイント
(1)幕を挟んでの言葉の掛け合い!(鬼が客席から登場することも…)

(2)石見神楽では珍しい鬼が降参し、許される形で終わる演目です。


ガイドブック浜田の石見神楽