鍾馗(しょうき)
鍾馗(しょうき)あらすじ
むかし、唐(今の中国)の玄宗皇帝が病の床に付いていた時、夢の中に1人の神が現れ、鬼を退治しました。皇帝が夢からさめると急に病が癒えたので、画人を呼んでその神の像を描かせました。長く豊かな髭を蓄え、中国の官人の衣裳を着て剣を持ち、大きな眼で何かを睨みつけている姿は「鍾馗」であると明らかになりました。この故事により中国では疫神を退け魔を除くと信じられている神様です。

中国や日本の民間伝承に伝わる道教系の神で、日本では、疱瘡(ほうそう=天然痘(てんねんとう)除けや学業成就に効があるとされ、端午の節句に絵や人形を奉納したりします。

この演目は能楽「鍾馗」「皇帝」の物語と、須佐之男命と蘇民将来との「茅の輪」の故事が合体したものと思われます。

登場人物
鍾馗
鍾馗(しょうき)
中国の道教系の神。鍾馗の絵姿を描かせ邪気を払う効力があるとし、世の中に広めた。鍾馗の図像は長い髭を蓄え、中国の官人の衣裳を着て剣を持っている姿である。

疫神
疫神(えきしん))(鬼)
玄宗が夢で見た宮廷内で悪戯をしてまわる小鬼。マラリヤの高熱のなかで見た夢の中に登場することから、あらゆる疫病の象徴とされる。

注目の口上!
「おお我はこれ。春の疫癘(えきれい)夏瘧癘(ぎゃくれい)。秋の血腹(ちはら)に冬咳病(がいびょう)。一切病の司。疫神とは我が事なり」

【口上解説】
疫癘(えきれい)は流行り病、瘧癘(ぎゃくれい)はマラリア、血腹は下血の類。これに咳(せき)を並べ立てて、自らは万病の源―疫神(疫病神)だと名乗ります。そして、多くの病気をまき散らして庶民を苦しめ、国中を魔国にしてやると告げて戦います。
※鬼を退治した後の口上

ここに注目!
(1)各地にある『茅の輪を門口に掲げておけば、災厄を免れ一家は繁栄する』とされる言い伝えに由縁する演目です。

(2)鍾馗の見どころは何と言っても、金糸銀糸で刺繍した豪華な衣裳。各社中は鍾馗の衣裳に一番豪華な衣裳を使います。


ガイドブック浜田の石見神楽